(探偵業務の実施の原則)
探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、 この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないことに 留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。
『探偵業の業務の適正化に関する法律』より引用
特別な権限を持つ医師や弁護士
探偵業法第6条は、探偵に特別な権限を与えるものではないことを明記しています。
探偵とはちがい、一般人には許されない特別な権限を持つ職業として、医師と弁護士が挙げられます。
弁護士は、訴訟に必要又は裁判所の提出要求に応じる場合、本人確認・所在調査のために住民基本台帳閲覧・住民票写しの請求が可能。
また、医師は手術で体にメスを入れるなど、他人の身体を傷つける行為が許されています。
これらの行為を、一般人が行えば罪に問われます。
探偵に特別な権限はない
弁護士や医師は、それぞれ弁護士法や医師法によって特別な権限が与えられています。
一方の探偵は、探偵業法によって特別な権限が与えられているわけではありません。
ちなみに、警備員は警備業法によって、業務中に警棒を所持する権限が与えられています。
一般人が正当な理由なくして、外で警棒を携帯すれば軽犯罪法に抵触します。
しかし警備員は、業務中であれば施設の内外にかかわらず、警棒を携帯しても罰せられることはありません。
KEN探偵事務所の場合、東京都公安委員会認定4号警備(ボディーガード)会社の身分を持っています。
したがって、警備業務に関しては特別な権限が与えられていると言えます。
しかし、探偵業務を行なうときは法的に丸腰。
たとえ依頼人のためでも、浮気の証拠を撮るために人の家のベランダに入ることは許されません。
車に発信機を仕掛けるために、ブロック塀を乗り越えてガレージに入る行為も同じです。
それは住居侵入罪になります。
盗聴器を仕掛けるために、人の住居に勝手に入った場合も同様。
探偵業法ができたからといって、従来法令違反とされる行為が許されるわけではないのです。
難しい探偵の仕事
第6条後半には、「他人の平穏な生活を侵してはならない」とあります。
これは、尾行、張り込み、聞き込みを行う際に、調査対象者やその周辺にいる人々に迷惑をかけてはならないということです。
たとえば、浮気調査や素行調査の尾行張込みは、相手に気づかれないように行う分には問題ありません。
しかし、相手に気付かれてしまえば、それはつきまといになります。
不貞や不正の証拠を撮影する場合も、相手にバレれば迷惑行為になります(調査としても失敗)。
医者や弁護士とちがい、何の権限もお墨付きもない探偵。
探偵は、絶対に他人の平穏な生活を侵すことなく、隠密に業務を行なって依頼人の希望に応なければならない難しい仕事です。
そして、依頼人の希望に応えられるスキルを備えた探偵事務所は、非常に少ないというのが現状です。
まじめに尾行張り込みをやるものの、すぐにバレて調査対象者とトラブルになる素人探偵事務所。
端から尾行も張込みもやらず、「動きが無かった」とウソの報告をする悪徳探偵事務所などなど。
依頼者にとって、真のプロ探偵に巡り合うのは至難の業なのです。
第1条 目的 | 第2条 定義 | 第3条 欠格事由 |
第4条探偵業の届出 | 第5条名義貸しの禁止 | 第6条探偵業務実施の原則 |
第7条書面の交付を受ける義務 | 第8条重要事項の説明等 | 第9条探偵業務の実施に関する規制 |
第10条秘密の保持等 | 第11条(教育) | 第12条名簿の備付等 |
第13条報告及び立ち入り検査 | 第14条(指示)・第15条(営業停止等)・16~20条原文 |
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