(指示)

公安委員会は、探偵業者等がこの法律又は探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において、探偵業の業務の適正な運営が害されるおそれがあると認められるときは、当該探偵業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。

『探偵業の業務の適正化に関する法律』より引用

第14条でいう指示とは

ここで言う「指示」とは行政処分のことです。

他の法律では○○命令となどと称されますが、探偵業法では風営法、警備業法にならい「指示」としています。

探偵業者やそのスタッフが問題を起こした場合、都道府県公安委員会が指示処分を行います。

この都道府県公安委員会とは、対象探偵業者の届け出を受理した公安委員会とは限りません。

どこの公安委員会でも、必要な場合は指示処分をすることができます。

これは探偵業務の性質上、常に営業所がある区域だけで業務を行うとは限らないからです。

たとえば東京の探偵事務所が、浮気調査の依頼を受けて世田谷区から尾行を開始。

その後対象者が、千葉県に移動するというようなケースはよくあります。

そのため探偵業法は、指示処分の主体である公安委員会について、営業所ごとに置くことをしませんでした。

もしも、尾行を担当した東京の探偵事務所スタッフが、千葉で「他人の平穏を侵す」ような無茶な尾行をしてトラブルになったとします。

この場合、千葉県公安委員会はその東京の探偵業者に対して、当該スタッフを浮気調査担当から外すよう、改善措置を指示できます。

一方労働基準法があるため、トラブルを起こした探偵スタッフを、解雇させるまでの指示処分はできないと考えられています。

 

(営業の停止等)

1 公安委員会は、探偵業者等がこの法律若しくは探偵業務に関し他の法令の規定に違反した場合において探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき、又は前条の規定による指示に違反したときは、当該探偵業者に対し、当該営業所における探偵業について、六月以内の期間を定めて、その全部又は一部の停止を命ずることができる。

2 公安委員会は、第三条各号のいずれかに該当する者が探偵業を営んでいるときは、その者に対し、営業の廃止を命ずることができる。

『探偵業の業務の適正化に関する法律』より引用

第15条が規定する営業停止について

指示より厳しい処分が営業停止命令です。

これは探偵業者が法令違反をし、適正な業務運営が認められないと判断された場合に行われます。

たとえば、スタッフに対して、

「人混みの尾行は、通行人と突き飛ばしてもいいから見失わないようにしろ!」

「ベランダに侵入して室内の様子をうかがえ!」

「電話線に盗聴器を仕掛けろ!」

など、探偵業法や一般の法令に違反することを奨励しているようなケースです。

その場合、都道府県公安委員会は指示処分を飛び越えて、一気に営業停止を命ずることが出来ます。

この営業停止処分は、探偵業務のすべてまたは一部の停止を営業所ごとに命じるものであり、その営業所を管轄する都道府県公安委員会が行います。

営業停止命令は、6カ月以内の期間を決めて行われます。

この営業停止命令より、さらに厳しい処分が営業廃止命令です。

この営業廃止命令は、指示処分や停止命令とちがって、すべての公安委員会が主体です。

たとえば神奈川県在住の経営者が、都内で経営する探偵事務所の場合。

その経営者が、神奈川県内で違法な探偵業務を行ったため神奈川県警に逮捕され、懲役刑に処されたとしたとします。

その場合は、神奈川県公安委員会がこの経営者に探偵業の廃止命令を行うのが妥当と考えられています。

営業停止命令は、届け出の有無にかかわらず、すべての探偵業者に対して行われます。

第16条~20条の原文と附則

以下探偵業の業務の適正化に関する法律より引用

(方面公安委員会への権限の委任)

第十六条

この法律の規定により道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に行わせることができる。

(罰則)

第十七条

第十五条の規定による処分に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

一 第四条第一項の規定による届出をしないで探偵業を営んだ者

二 第五条の規定に違反して他人に探偵業を営ませた者

三 第十四条の規定による指示に違反した者

第十九条

次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第四条第一項の届出書又は添付書類に虚偽の記載をして提出した者

二 第四条第二項の規定に違反して届出書若しくは添付書類を提出せず、

又は同項の届出書若しくは添付書類に虚偽の記載をして提出した者

三 第八条第一項若しくは第二項の規定に違反して書面を交付せず、又はこれらの規定に規定する事項を記載しない書面若しくは虚偽の記載のある書面を交付した者

四 第十二条第一項に規定する名簿を備え付けず、又はこれに必要な事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をした者

五 第十三条第一項の規定に違反して報告をせず、若しくは資料の提出をせず、若しくは同項の報告若しくは資料の提出について虚偽の報告をし、若しくは虚偽の資料を提出した

者又は同項の規定による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

第二十条

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前三条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

附 則

(施行期日)

第一条

この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。

(経過措置)

第二条

この法律の施行の際現に探偵業を営んでいる者は、この法律の施行の日から一月間は、第四条第一項の規定による届出をしないで、探偵業を営むことができる。

(検討)

第三条

この法律の規定については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行の状況、探偵業者の業務の実態等を勘案して検討が加えられ、必要があると認められるときは、所要の措置が講ぜられるものとする。

理 由

探偵業の業務の運営の状況等にかんがみ、探偵業について必要な規制を定め、もってその業務の運営の適正を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

『探偵業の業務の適正化に関する法律』より引用

 第1条 目的  第2条 定義  第3条 欠格事由
 第4条探偵業の届出  第5条名義貸しの禁止  第6条探偵業務実施の原則
 第7条書面の交付を受ける義務  第8条重要事項の説明等  第9条探偵業務の実施に関する規制
 第10条秘密の保持等  第11条(教育)  第12条名簿の備付等
第13条報告及び立ち入り検査 第14条(指示)・第15条(営業停止等)・16~20条原文

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