予備調査

探偵の仕事で、依頼者からの浮気調査や人探し調査などを行う際に、張り込みや尾行調査、聞き込み調査が重要です。

特に「マルタイ(対象者)を間違いなく特定できるかどうか」は、調査の成功を左右する大きなポイントです。

では、会ったことのない対象者をどのようにして現場で認識し、張り込みや尾行を成功させるのか?

そのカギとなるのが予備調査です。

予備調査とは、本調査に先駆けて行う事前調査のことです。

今回は、探偵が調査を成功させるために行う予備調査について詳しく解説します。

的確な聞き取りで情報をインプットする

探偵は、まず依頼者から対象者に関する詳細な情報を聞き取ります。

そして、その情報をもとに「調査指令書」を作成します。

この調査指令書には、対象者の基本的な情報とともに、外的データや内的データが含まれます。

また、最近の写真も提供してもらい、現場での調査に備えます。

この「調査指令書」と写真は、実際の調査現場で対象者を正確に特定し、尾行・張り込みを成功させるための手掛かりとなります。

調査指令書の内容

対象者の基本情報
名前
住所
電話番号
家族構成
勤務先住所、親の住所(近隣の場合)

それ以外の情報として、外的なデータと内的なデータがあります。

この外的なデータと内的なデータを、契約時に聞き取りします。

外的データ

外的データは、対象者の見た目に関する情報です。具体的には以下のような点が含まれます:

身長、体重、体格(痩せているか太っているか)
メガネの有無
服装や持ち物
髪型や靴、姿勢、歩き方

内的データ

内的データは、見た目ではわからない情報です。例えば:

癖や飲酒・喫煙の習慣
好きな食べ物や趣味、習い事
交友関係や地域活動の参加状況など

これらの情報を、できる限り詳細に収集し、調査指令書に記載します。

調査の精度は、どれだけ詳しく情報を聞き出せるかにかかっています。

情報収集のポイント

情報収集

相手から信頼を得て、正確な情報を引き出すことは、探偵の重要なスキルです。

相手に信頼してもらうためには、調査員自身の身なりや話し方、そしてその場の雰囲気作りが重要です。

情報を聞き出す際には、的確な質問をすることが求められます。

そのためにも、事前に行う予備調査は欠かせません。

予備調査が不十分な場合、現場調査で有益な手掛かりを得るのが難しくなるからです。

古い写真しかない場合の対策

調査成功

依頼者から提供される対象者の写真が、古い場合もあります。

例えば10年前の写真しかない場合、対象者が成人であれば大きな変化はないかもしれませんが、体型や容姿が変わっている場合もあります。

そのようなとき、どのように対象者を特定するのでしょうか?

内的データを活用する

例えば、10年で20kg太った対象者がいたとしても、身長や歩き方、耳の形や顔の特徴など、変わらない部分に注目します。

これらの情報をしっかり予備調査でインプットしておけば、張り込み先から出てきた対象者を瞬時に認識することができます。

身長
歩き方(速いかゆっくりか)
ガニ股か内股か
耳や目、鼻、口などの顔のパーツ
手足のバランスや全体の印象
これらの要素を組み合わせて、対象者を特定します。

対象者が未成年者の場合

対象者が未成年で、写真が10年前の小学3年生のものである場合は、容姿が大きく変わっているでしょう。

そんな状況でも、予備調査をしっかり行うことで対象者を特定することが可能です。

調査事例:10年前に別れた娘の調査

ある依頼者が、10年前に別れた娘の調査を依頼してきました。

この男性は、浮気が原因で妻と離婚し、当時9歳の娘と離れ離れになりました。

その後、娘は東京の大学に進学し、一人暮らしをしているという情報を得て、娘がどうしているかを知りたいということで依頼がありました。

このケースでは、対象者の娘さんは9歳から19歳へと成長しており、見た目が大きく変わっていることが予想されました。

しかし、耳の形や顔のパーツ、手足のバランスなどの情報を基に対象者を特定しました。

予備調査の成果により、一人暮らしのマンションから出てきた瞬間に対象者を認識し、調査を成功させました。

これも、事前の綿密な情報収集があったからこそです。

尾行中に見失った場合の対応

いくら経験豊富な探偵であっても、時には尾行中に対象者を見失うことがあります。

尾行は相手に気づかれないように行うため、至近距離に張り付いて尾行することはリスクが伴います。

気づかれないよう、状況に応じて距離を調整しながら尾行するのがプロの技術です。

短時間で再発見するための嗅覚

万が一対象者を見失った場合でも、探偵は慌てることなく、素早く対象者を見つけ出します。

対象者の歩き方や癖、全体の雰囲気を覚えておけば、広い視界で対象者を見つけることができます。

また、対象者がよく訪れる場所を予備調査で知っていれば、その情報を基に探すことができます。

例えば、対象者がパチンコ好きであれば近くのパチンコ店を確認したり、喫煙者であれば喫煙所を探すことで、短時間で発見できる可能性が高まります。

コンビニや喫茶店、銀行のATMなど、考えられる場所を徹底的に探すことで、多くの場合すぐに対象者を見つけ出せます。

まとめ

調査の成功は、事前の予備調査にかかっています。

的確な情報収集ができていれば、対象者を特定するための手がかりが得られ、調査がスムーズに進みます。

古い写真しかない場合や、未成年者の調査においても、予備調査を基に対応することが可能です。

また、万が一尾行中に対象者を見失っても、プロの探偵は短時間で再発見するためのスキルを持っています。

予備調査の精度を高めることで、本調査の成功率は格段に上がります。

探偵が現場で直感を働かせて行動するには、事前の綿密な予備調査が欠かせないのです。